力を持つ者
第一章










空を見つめる。

視界には、雲一つ無い青空が、無限の空間が広がっている。

太陽の暑い日差しが、彼の姿を照らしている。

そこに吹く風が心地いい。

気温…32℃。

夏真っ只中という感じである。

事実、今は夏なのだが…。



































…あれからどのくらい時間が経ったのだろう…













これまで何も無かった…













変だと言うくらい何も無い













奴等の力なら、簡単に見つけ出せると思っていたのだが…













…かいかぶりすぎたか…




































男は仰向けに、頭の下に腕を組んで横たわっていた。

黒い制服…服のボタンが、日の光によって鮮やかに輝いている。

…誰もいない場所…

時間にして、AM11時を回ったところ。

その時間帯に、この場所に来る者はまずいない。

静かな世界。

男は太陽の強い日差しに照らされながら、瞼を静かに閉じた。



































ドスッ



































閉じた瞼が勢い良く開かれる。

先程まで何も無い空間だったその場所で、とても鈍い音がした。

瞼は2秒と閉ざされていない。

「…いってぇぇぇぇぇ!!」

男は天にも届く大きな声を張り上げた。

静寂な時は終わった。

「…授業サボって、こんな所で居眠りなんて…良い度胸じゃない?」

何も無かった場所から女の声がした。

男は慌ててその場を確認した。

瞼を閉じようと思ったその時にはない光景だった。

女が男の隣で堂々とした態度で立っている。

太陽を背にしているせいか、顔がはっきりと見えない。

しかし男には、この者が何者なのかすぐにわかった。

「…てめぇ、何て起こし方しやがんだよ!!」

「あぁら、そんな起こし方されるような事をしている人は、どこの誰だっけ?」

そうである。立っている女は彼のクラスの委員長であり、今一番会いたくない人間だった。

「何も隙だらけの腹に鞄を叩きつける事ねぇだろうが!普通に起こせ!!」

「隙をみせるあんたが悪いのよ!」

女の手にはスクール鞄と言われる、学校の支給品の一つが握られていた。

男は仕方なくゆっくりと態勢を起こす。

寝かけていた体だ、とてもだるい。

「全く…なんであんたを呼びに行くのがこの私なのよ!しかも毎回毎回!!」

「そんなの俺が知るかよ。面倒なら断ればいいだろう。」

「そんなの無理に決まってるでしょ!あんたが悪いのよ、あ・ん・た・が!!」

「へいへ〜い、俺が悪ぅございました〜。」

「そんなことより、早く教室に戻りなさいよ。私がまた怒られるんだから。」

「悪いな、このまま帰る。」

「はぁ!?何ふざけた事言ってるのよ!!」

「ふざけてなんか…」

「…ふざけてなんか…なんだってぇ?」

二人のものとは違う声が、扉の方から聞こえてくる。

赤のスーツに赤のハイヒール。

見事なプロポーションに黒髪のロングへアーが大人の色気をかもし出している。

「このあたしの授業をサボろうとは…死にたいのかい?ボウヤ。」

「…ちっ!!なんでてめぇまで来てんだよ…」

「てめぇだぁ?教師に向かって…口のきき方から教えなおされたいのか?」

自分を教師と言う女は、怒り爆発の言葉が良く似合う顔になっていた。

…今日に限ってなんで会いたくない人間ばかりに会うんだよ…シャレになんねぇ。

人間必ず一つは人には言いたくない、会いたくない、そういった隠し事があるものである。

今の彼の場合、今一番会いたくなく、会話もしたくない人間が二人も目の前にいるのである。

そういう時はとてもイライラするものだ。

「…はいはい、わかりましたよ。戻ればいいんだろう、戻れば!」

「わかればいいんだよ!さっさと戻って来いよぉ、じゃないと…」

「わ〜ってるよ!…ったく…」

フンっ!!という素振りを見せその場を跡にする教師。

最初の色気がまるでなくなっていた。

普通にしていれば、男の方から寄ってくるのに…と思いながら、男もその場を去った。

「ちょっと〜!あたしを置いて行くつもり〜〜!?」

突然の教師の登場に影が薄くなっていた女は、自分の存在の薄さに気づいたのか、機嫌が余計に悪くなっていた。



































…邪魔が入ったか…













…まぁいい。













いつでも殺る事はできるだろう…




































「…で、ここの『それ』というのは…」



































…イライラが続く…

これほどつまらない授業はない。

膨れっ面をしながら授業を受ける。

遠くから射抜く鋭い眼差しが、こちらを見ているとも知らずに…。








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